■鉄道時代をほぼキープ
続いて、2025年5月現在の、函館バス木古内松前線の様子に軽く触れていこう。現在のところ1日あたり平日7往復、土日祝と休校日5往復のダイヤ設定だ。
鉄道時代は1日7.5往復の設定だったため、平日ならJR松前線とほぼ同じ便数を、廃止37年を過ぎた今でもキープしていると言える。
他の交通機関との接続状況を見ると、東京方面から来て木古内で北海道新幹線を降り、バスに乗り換える場合は比較的キレイに繋がる。上りの新幹線や道南いさりび鉄道線からの乗り換えは少々工夫が必要な印象。
■山と海のよくばりセット
木古内→松前に向かう場合、木古内駅南口にあるバスターミナルの、道の駅の建物向かいに置かれた1番乗り場が、函館バス521系統の木古内側の始発停留所になる。ごく一般的な大型路線車が使われており、中乗り・前降りの運賃後払い方式。交通系ICカードが使える。
木古内の市街地を抜けると国道228号線に入り、終点までこの国道が521系統のメインルートになる。知内までの最初の10kmが海沿い、知内〜福島町の25kmが内陸部に入って峠越え、残りの20kmがまた海沿いと、車窓的には海系・山系の混ざったハイブリッドだ。
とりわけ峠越えをした後の松前までの区間は、海岸線に沿うようにして道路が敷かれているのもあり、進行方向左側に広々としたオーシャンビューが続き、路線バスに乗りながら見事な景色が楽しめる。
さらにこのバスは、新幹線や貨物列車を近くで見学できる展望塔のある「道の駅しりうち」や、青函トンネル記念館の前も通り、それら観光スポットへのアクセスにも便利。最寄り停留所名はそれぞれ「しりうち道の駅」、「青函トンネル記念館前」だ。
■90分の濃密な路線バス旅
木古内を出発して1時間半ほど。521系統の終点は「松前出張所」であるが、松前城をはじめ観光スポットが点在する松前市街地から3kmほど離れているため、観光目的なら「松城」停留所で下車するのが丁度いい。ここまでの距離およそ55.2km、運賃は2,000円だ。
ここで鉄道時代の所要時間と比較すると、鉄道では1時間20〜30分程度。さすがにバス vs.鉄道では速度の差がどうしても開いてしまうため、今の方がやや遅くはなっているものの、バスがそこまでスローなわけでもない。
なお、JR松前線の終点だった松前駅跡は521系統の経路から外れている。松城で降りても駅跡まで歩いていける(1kmくらい、ちょっと上り坂)ので、ついでに見学していくと鉄道時代の面影を偲べるかも。
廃線から37年経った今も堅実に走り続けている、松前線代替バスの肩書きを持った函館バス521系統。全区間およそ58kmと、一般路線バスとしては長めの距離を走り乗りごたえは十分。
車窓から見える景色がキレイなのも見逃せないところで、道南を訪れて日帰りでも泊まりでも、ちょっとしたバス旅を堪能するにはうってつけだ。
今や鉄道に代わる地元の純粋な足に留まらず、廃線トレースや観光の足代わりなど、多方面から楽しみ方を提案してくれる、間口の広い乗り物へと躍進しているように思える。
【画像ギャラリー】函館バス521系統で北海道最南端の町へ!(15枚)画像ギャラリー
コメント
コメントの使い方休校日の本数間違えてます。
知内高校、松前高校を経由しない便に変更となるだけで、本数が減るのは土日祝のみです。