空港の中には普段見られない特種な車が多数働いている。なかでも空港を利用する際に最も身近になり得る車といえばランプバスだ。
文・写真:中山修一
(バスマガジンWeb/ベストカーWebギャラリー内に、各種空港ランプバスの写真があります)
■お客さんと直接触れ合う空港の働き者
ランプバスは、いわゆる「沖止め」と言われる、搭乗口から離れた位置に目的の飛行機が停めてある場合、お客さんをゲート→飛行機へと移動させるための役割を持ったバスだ。
実際の利用感については、あれこれ物申したい事もなくはない気がするとはいえ、ここではバス趣味の観点でランプバスの車両本体を愛でていきたい。
恐らくランプバスと聞いて真っ先に思い浮かべるのが、羽田空港などで使われている、普通のバスに比べると物凄く幅が広い、あのクルマだろう。
■空港内だけを走れる超ワイドなバス
『空港アクセス35年 東京空港交通株式会社 編纂(1990)』を開くと、1981年8月に、現在使われている物とほぼ同じ形態の幅広ランプバス(特種大型ランプバス)が、日本で初めて羽田空港に登場したとされている。
この幅広ランプバスの大まかな寸法を記すと、幅およそ3m、長さおよそ13m、定員100名+といったスペック。性質上、低床タイプで普通の路線バスに近い設備が付いている。
一般的な大型路線バス車両が、幅2.5m、長さ10.5m前後、定員80名程度であるのと比較すれば、かなり大柄な車体だ。
公道を走れる自動車の最大幅が2.5mまでなので、幅広ランプバスが空港内を走るためだけに作られた、特別なバス車両である様子が窺い知れる。
■特別だけに車種もオリジナル?
そんな車両像を持った幅広ランプバスであるが、「車種」に注目した場合、やはり他のバスとは異なる、まったく独自のモデルなのだろうか。
最近〜2025年現在の幅広ランプバス事情を軽く見回してみると、過去に存在した輸入車(西ドイツ・ネオプラン製)は既に引退しているようで、三菱ふそう又は日野自動車製が中心。
寸法からして規格外のため、特注品であるのは確かだ。ただし実は、ベースにしている車体は市販の大型路線車なのだそう。
ランプバスの前面を観察すると、公道を走っている通常の大型バス車両と、顔つきがよく似ているのに気付くはず。
ランプバスの顔つきと、ベースになったバス車両のモデル名はほぼ一致するようで、三菱ふそうエアロスターの顔ならエアロスター、日野ブルーリボン顔ならブルーリボンだと思えば概ねOK。
幅広ランプバスはサイズこそ完全に独自とはいえ、車種自体は通常のバス車両と同じ枠組みの中で扱える、というわけだ。
最近の幅広ランプバスの主力は、「三菱ふそうエアロスター」各種と「日野ブルーリボンII」がベースの特注車。
幅広ランプバスは1台の車が長きにわたって使われる傾向があり、公道ではめっきり見かけなくなった、レトロな顔つきの車が現れることも!?
■普通そうに見えるランプバスのプロファイル
幅広ランプバスのほか、空港内を走るバスを観察していると、普段街中で何気なく接しているような、ごく普通のサイズ感を持ったランプバスが行き来している姿を目にすることがある。
外見は普通の路線バスとあまり変わらない。ではその幅広ではない、レギュラーサイズのランプバスは空港専用の車種かといえば、こちらは公道を走る一般的な路線バス車両とほとんど同じだ。
さらにレギュラーサイズのランプバスの場合、元々は各地のバス事業者で一般路線バスとして使われていた車が、中古で流れてくるパターンが結構多いらしい。
最近の一般路線バスで、それほど地域を問わず普及しているバス車両のメーカーに、いすゞ、三菱ふそう、日野自動車、日産ディーゼルあたりが挙げられ、4社の車すべてがランプバスとしても使われている。
各空港の動向を踏まえると、レギュラーサイズのランプバスの車種は、基本的に公道を走る現役路線バスのラインナップと大体一緒と言えそうだ。
ただし、通常の路線バス車両と異なる要素も若干ある。空港内のみを走るランプバスには排ガス規制がないため、古い車でもそのまま使い続けられる。
そういったユニークな条件もあってか、通常のバスとしては早々に姿を消してしまった、製造数が極めて少ない希少車が混じっていることもあるので見逃せない。
飛行機に乗る前の待ち時間を利用してランプバス観察でも一つ挟んでおくと、これからのフライトがより楽しくなるかも!?
【画像ギャラリー】眺めるほどに不思議な存在!? 空港ランプバス(8枚)画像ギャラリー
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