沖縄バスでは、沖縄県の交通方法が右側通行から左側通行に変更された「ナナサンマル」から43周年を迎えるにあたり、1978年(昭和53年)7月30日から今日まで現役で走り続けているレトロなバス「1064号車」の特別運行を行う。
生憎のコロナ禍で移動の自由が制限されている人も多い時期だが、ぜひ沖縄在住のバス好きの方はナナサンマルの乗りバスを楽しんでほしい。
文:古川智規(バスマガジン編集部)
画像出典:沖縄バス発出プレスリリース・公式FB
【画像ギャラリー】沖縄バスのナナサンマル車1064号車が7月30日に終日特別運行!
「ナナサンマル」とはいったい?
戦後、沖縄県が米国に占領されて日本から切り離されたときに、米国は沖縄に軍政をしいてすべてを米国式に改めた。よって通貨は米ドルに、車道の通行方法も車は右側通行になった。
日本で左ハンドルの乗用車に乗ってもそれほど不便は感じないのだが、バスはそうはいかない。右側通行では運転席は左に、ドアは右にないと乗降できないからである。
沖縄が日本復帰後6年目の1978年にようやく本土と同じ左側通行に合わせることになり、同年7月30日の実施に向けてさまざまな準備が行われた。この周知徹底キャンペーンを実施日を取って「ナナサンマル」と呼んだ。
この時にまた困ったのがバスである。米国時代の左ハンドル右ドアでは左側通行に対応できないからである。
そこで大量の右ハンドルのバスを導入するにあたり国庫負担や補助、財政投融資(当時の郵便貯金を財源とした国家的事業への投資・融資制度)を活用して新車・中古車または既存の左ハンドルバスの改造を行い対処した。
新車を導入するにしても各バス会社がメーカーに無秩序に発注すると効率が悪いために、導入車両のメーカーが取り決められ、沖縄バスでは三菱ふそう製と決められた。同社の1064号車は同社では唯一の生き残り車両で、特別な整備が施され動態保存が決定し現在に至るまで活躍中である。
1064号車の登録番号は「沖22か1064」。型式はMP117Kで、ボデーは呉羽製。当時は三菱、呉羽以外にも西日本車体工業、富士重工などのコーチビルダーが同型式にボデーを架装した。