走行距離は半端ないが…
バスの走行距離は自家用乗用車のそれとは比較にならないほど長い。しかしエンジンそのものがダメになることはそうそうなく、整備をすれば乗用車ではとっくに廃車になっている年式でも現役で走っている。
それでもバス事業者は定期的に新車を導入し、押し出しで廃車を出し、それらのバスは中古市場に流れる。もちろん中古のバスを積極的に導入する事業者もあるが、十分に整備されてきたバスなので引き続き走るには何の支障もない。
都市部の大手バス事業者が地方の系列バス事業者に、早めに配車し中古車として供給源になることは日本ではよく見られる供給経路だ。それでも昨今の公共交通機関を取り巻く状況は厳しさを増し、新車を導入できても運転士がいない、運転士がいても新車を導入する余裕がない等のミスマッチが起こっている。
収益改善の切り札になり得るか?
このような事情から中身は大丈夫でも外観や内装が陳腐化してくると使いたくてもサービスの低下につながりかねないので、リニューアル事業をバス製造メーカーが行うことには一定の意義はあるだろう。
またバスのラッピングについてもコストがかかると、インパクトがあるバスを走らせることは可能でも広告の出稿が減り、バス事業者の広告収入減にもつながりかねない。インクジェットプリント方式でラッピングをしてしまえばコストが下がる分だけ、広告収入増に貢献できる期待値が上がる。
未来のバス復権に向けて期待
一昔前のように多くのバスメーカーやコーチビルダーが存在していれば、バス事業者にとっても乗客にとっても日本式のサービスが生かされた、特定事業者仕様の多種多様なバスがあちこちで見られるのかもしれないが、残念ながら現在では標準化されたバスが基本だ。
こうした取り組みで少しでもバス事業者のコストが下がり、収益改善ができれば時間はかかるかもしれないが、乗務員の待遇改善や乗客へのサービスにも手が回るようになるだろう。そういうことも期待しながら、これらの事業を見守りたい。
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