[その1]では列車の便とのリンクにおける、“実用性低さ”の例を挙げたが、その分“趣味的な楽しさ”がある点もおわかりいただけたかと思う。せっかく移動するなら楽しみながら、という感覚をお持ちの方へということで。[その2]ではその舞台裏も紹介。
文/写真:谷川一巳(バスマガジンvol.84より)
※掲載している料金などはバスマガジン本誌掲載時のもので現状と異なる場合があります。
【画像ギャラリー】空港最寄り駅へ運行するローカル路線バスたち
空港を発着するローカルバス事情はさまざま
こんなことをしていると、さまざまな経験もする。たとえば、出雲空港からの一畑バスの空港バスは出雲市駅へ向かうが、途中、直江駅入口というバス停を通り、このバス停で降りるとJR山陰本線直江駅が徒歩3分くらいの位置にある。
空港の券売機で直江駅入口行きのチケットを買い、バスに乗ると、運転手が「直江でいいんですね」と問われ、「はい、直江で降りてJR直江駅に歩きます」と答えると、運転手は、「直江駅は無人駅で各駅停車しか停まりませんし、駅の周りにはコンビニも何もありませんよ」と、心配な顔つきで教えてくれた。
バス停で降りるのに、コンビニの有無までご丁寧に教えられることもそうはあるまい、と思った。
こんな例もある。岩手県の花巻空港は花巻市にあり、JR東北本線には花巻駅とは別に、ずばり花巻空港という駅がある。実は花巻空港の旅客ターミナルは以前は滑走路の西側にあり、花巻空港駅から路線バスでアクセスできたが、新ターミナルは滑走路の東側に移転となり、花巻空港駅から空港は遠く離れてしまった。
現在は盛岡駅から花巻空港に向かう岩手県交通の空港バスが花巻空港駅を経由して運行するにとどまっているという状況になった。
完全に路線がなくなった例もある。福島空港が開港した当初は、福島交通の路線バスがJR東北本線須賀川駅に運行していたが、廃止になった。この路線に乗ったことがあるが、中型車で運行ながら乗客は私1人だったのを記憶している。
鉄道が乗り入れているものの、鉄道よりバスのほうが安上がりという例もある。仙台空港へは第三セクターの仙台空港鉄道が乗り入れるが、JR東北本線との分岐駅となる名取駅までの運賃は410円もするが、仙台バスでJR東北本線館腰駅に出れば運賃は200円である。