県内3社が合併して宮城県全域をカバーする強力な事業者 宮城交通:編

首都圏や名古屋からの転入が目立ち、車両バリエーションも一層豊かになった

 車両は厳しい経営事情も反映して、各地からの中古車を積極的に導入して老朽車両の取替や冷房化を進めた。元々自社発注車も車両のバリエーションが豊富なことで知られていたが、一層多彩な陣容となった。

●日産ディーゼル K-U31L

元・川鉄運輸(現・JFE物流)で使用されていた車両で、中折戸を採用する。中古車両の調達元は多岐にわたり、企業送迎バスや自家用バスの中古バスも転入した
元・川鉄運輸(現・JFE物流)で使用されていた車両で、中折戸を採用する。中古車両の調達元は多岐にわたり、企業送迎バスや自家用バスの中古バスも転入した

 分離子会社では輸送状況を反映して車両の中小型化が進められた。首都圏の東京都交通局や神奈川中央交通、西武バスからの転入が目立ったが、出資する名古屋鉄道の関連会社からの転入も多く見られた。

 また、名鉄の資本参加以降、車両のデザインも名鉄グループの共通塗装となっていたが、それ以前の宮城交通旧カラーも平成初期まで見ることができた。

 そして平成中盤の2000(平成12)年からは、再び大規模な会社再編に着手。新たに設立した(新)宮城交通にバス事業を譲渡、07(平成19)年には宮交気仙沼バスをミヤコーバスに改称した上でほか6社の分社子会社のバス事業を継承、そのほかの組織は清算された。

三菱 P-MP118M

仙台地区を中心に神奈川中央交通からは多くの車両が転入した。MP118系はその中心でM尺のほかN尺も転入し都市部通勤路線の冷房化にも寄与した
仙台地区を中心に神奈川中央交通からは多くの車両が転入した。MP118系はその中心でM尺のほかN尺も転入し都市部通勤路線の冷房化にも寄与した

 こうして仙台市域の宮城交通と、周辺地域のミヤコーバスという現体制が確立されたのである。大きな改革が続いた平成年間を経て、今後も安定経営の元・公共交通を支えてくれることを願う。

【画像ギャラリー】宮城県全域をカバーする宮城交通、その平成初期を彩ったバスたち

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