■いきなり壁が!
乗車手続きを済ませて早速乗車する。まず目に飛び込んでくるのは中央通路を挟んで左右に広がる壁だ。前方4室はプレミアムシートとなっており、パーティションで区切られた個室タイプの座席である。その先はビジネスシートで独立3列の黒い本革のシートが並び、それでも通常の高速バスとは違う豪華さを感じる。
筆者はお盆の帰省ラッシュの最中で、奇跡的に2号車最後のプレミアムシート1席が予約できた。座席は電動リクライニングシートで、個室空間はシートがほとんどを占めている。ただ通路側には2ヶ所、座席正面にも1ヶ所の取り出しタイプのフックがある。
座席後部や側面にも網型のポケットがあるなど、収納やちょっとした荷物を掛けたりするには困らないほどだ。座席でくつろげるように使い捨てのスリッパが設置され、蒸気アイマスクとパウダーシートが用意されているのは女性に限らずありがたいサービスだ。
なお、2号車は座席の配列は同じだが1つ前の世代の車両であることが多いので、1号車とは若干の仕様の違いはあるものの、快適さや空間は変わらないので安心してよい。
■西鉄乗務員のホスピタリティ
座席や室内を眺めていたらバスの出発時間となった。バスが動き出すと乗務員より設備や、この先の行程などが案内された。また各座席を回り乗客の質問を聞きながら、紙パックのお茶のサービスが行われた。乗務員が乗客1人1人に声掛けする様子はまるで寝台列車の検札のようである。
しばらく一般道を走行した後、首都高速道路から東名高速道路、そして新東名高速道路へと進んでいく。夜の高速道路ということで一定の速度を維持しつつ、快適に走行しているのが分かる。夜行バスというとカーテンは最初から閉じられていて、開けてしまうと周りの乗客の迷惑になる。
よって外の様子はなかなか見れないのだが、個室ではカーテンを開けていても他に光が漏れることもないので、気にせずに夜景を楽しむことが可能だ。
またその光に関しては座席脇にフレキシブルアームタイプの読書灯があるほか、この個室内だけの照明もある。側面にある調光器で操作できるので、好きな明るさで過ごすことも可能だ。
■静岡SAで1号車が「続行」で到着!
夜景を眺めつつ少し眠気も出てきた頃に最初の降車休憩だ。まず最初の休憩場所となったのは新東名高速道路のNEOPASA静岡である。時刻は23時25分で約10分ほどの休憩である。続々と降りていく乗客に続いていくと、ちょうど続行で1号車がやってきたようだ。
1号車には「はかた号 福岡北九州、東京(バスタ新宿)」と書かれており、バスタ新宿を出発した定期便というのが分かる。 ちなみに2号車にはちゃんと新宿西口と「正しく」記されているのが西鉄らしい律義さだ。
車両は1号車は2020年に導入された三菱ふそう製のスーパーハイデッカーである新型エアロクイーンだ。はかた号運行開始30周年を記念したもので、こちらのプレミアムシートは黒となっている。筆者が乗車したはかた号は1世代前の車両で、2014年に導入されたエアロクイーンだ。
ちなみにこのはかた号に使われている車両は専用車両で、西鉄の車番の付番ルールとは異なり、常に0001と0002が本務車、0003と0004が予備車となっている。
西鉄は伝統的に長距離夜行車には三菱ふそう製の車両が投入されるが、以前は3000、4000番台が付番されていたのがはかた号専用車だけはトップナンバーが割り当てられるようになった。
前面の「Hakata Tokyo」、そして側面の「Line connecting Hakata with Tokyo」という文字も誇らしい。また岡本太郎デザインの「太陽の塔」が描かれていて、いわゆる西鉄高速夜行バスの伝統の「白夜行」のデザインの象徴となっている。
筆者は撮影を終えると、サービスエリアで夜食などを購入した。この時間でも自席で食べることができるのは個室の魅力の1つだろう。発車時刻になると乗務員が人数の確認を行い、出発となった。1号車と並走するのかと思っていたが、どうやら自車の休憩時間は守って出発していったようだ。
高速バス全盛時代は専用車も予備車も4列夜行車や貸切車まで出動して10台近くの西鉄車が中央道をキャラバンを組んで走り抜けていたものだが、現在は新東名経由で2号車までが限界のようだ。
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