「へんなバス」の要素てんこ盛り! 阿佐海岸鉄道DMVは公道を走るアトラクション……なのか!?

■あのレア要素まで持っていた!?

 鉄道パートの区間は阿波海南〜甲浦(かんのうら)までで、そこから先は走行モードをバスにチェンジして、一般道に出て海沿いを走る。

海が広がってくると終点までもうすぐ
海が広がってくると終点までもうすぐ

 鉄道パートも含めて、青が映えるキレイなオーシャンビューを望めるバス路線の一つと言える。バス下り便の終点は、海沿いを通る国道55号線沿いの「道の駅宍喰温泉」だ。

 ここで注目すべきは、甲浦は高知県に位置する一方、道の駅宍喰温泉は徳島県にある、という点。

 甲浦〜道の駅宍喰温泉は道路パートのためバスモードで走行する。つまりこのDMVは、全国的に数が少ない、県境越え系路線バスの一面を持っているわけだ。

南側の始発/終点になっている、道の駅宍喰温泉
南側の始発/終点になっている、道の駅宍喰温泉

 一般路線バスでも高速バスみたいな予約制、不思議な形をしたバス車両、鉄のレールの上を走れて、観光特化型のサービスかつ景色良好、さらに県境まで越えてしまう……これだけユニークな要素がてんこ盛りになった路線バスも実に珍しい。

■「周回」できます

 DMVに乗って道の駅宍喰温泉まで行くと、そこから先(帰り)は折り返しのDMVしかないのか、と思いきや、ちょっと小技が使える。

 同じ場所を徳島バス南部の「牟岐線」が通っており、これを捕まえて乗ると、DMVの反対側の始発/終点の「阿波海南文化村」方面に向かえる。

徳島バス南部 牟岐線にはマイクロバスが使われている
徳島バス南部 牟岐線にはマイクロバスが使われている

 文化村に徳島バスの停留所はなく、近隣の病院(海南病院前)が停車ポイントになっているが、病院から文化村まですぐ歩いて行けるくらいの近さ。

 牟岐線を併用することで、DMVが走るエリアを「周回」でき、DMVをアトラクションの如く乗り回して遊ぶ、なんて贅沢な使い方も叶ってしまう。

 一般路線バスながらも普通のバスとは全く違う、テーマパークの遊具にも似た、非常に風変わりなオーラを放つ阿佐海岸鉄道DMV。

 物珍しさは抜きん出て高く、1度ならず2度や3度の利用では、物足りなく感じるかも知れない。この乗り物には、そんな奥深い楽しさや夢がいっぱい詰まっているように思える。

阿波海南文化村がDMV北側の始発/終点
阿波海南文化村がDMV北側の始発/終点

【バス路線の基本データ】
阿佐海岸鉄道 DMV(阿波海南文化村〜道の駅宍喰温泉)
・跨ぐ県:徳島県 → 高知県
・移動距離:約15km(定期ルート)
・所要時間:約34分
・運賃:800円
・停留所の総数:7
・高知県内の区間距離:約2.7km
・高知県内の停留所の数:2

【画像ギャラリー】ここにしかない乗り物!! 阿佐海岸鉄道DMV(11枚)画像ギャラリー

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