シートベルトなぜしない!? 高速バスのシートベルト着用率の実際

バスだけの統計はないが…

 ところで高速バスのシートベルト装着率はどれくらいかという公的な統計はないが、概ね7割程度ではないかと思われる。運転士が車内アナウンスでシートベルトの着用を促すことが取り決められ、必ず発車前後に言われることから装着率は向上してきていると思われるが、シートベルト装着は乗客の義務なので必ず締めよう。

 日本でここまでバスのシートベルトに対して厳しくなったのは、大きな死傷事故が発生した以降に国土交通省による対策委員会において勧告されたからである。日本でこうした状況になる以前から(当時の日本からすれば)異様にシートベルト装着率が高いと感じた国があった。

韓国は異様に装着率が高い

 お隣の韓国は日本同様に高速バス路線網が発達した国だが、シートベルト装着率は極めて高いと思われる。記者が韓国に出張した際には乗車直後からあちこちでシートベルトを締める音が聞こえ、運転士が何を言っているのかはわからなかったが、航空機のように点検して回っている便もあった。

韓国の空港高速バス
韓国の空港高速バス

 法律で義務化され罰則もあるのかもしれないが(日本では乗客に罰則はない)、韓国の交通事情を考えればわかるような気もする。

 韓国では全体的にお世辞にも運転が丁寧とは言えず、特にバスは日本と違いとにかく「偉い」。バスの進路を妨害しようものなら徹底的にクラクションで排除され、時には喧嘩に発展することもある。

 現在ではだいぶ「おとなしく」なっているとはいえ、この状況では事故も多く、安くて速い高速バスに乗るときは自己防衛という気質が生まれたのではないかと思われる。

日本での装着率が低いのはバスへの信頼からか?

 日本ではバスは遅い乗り物で、どちらかというと邪魔者扱いされ遠慮して走っている感がある。よって高速バスは新幹線も航空機も選択できる日本では、早くはないけれども安くて安全な乗り物として、新幹線並み(鉄道にはシートベルトはないので)に信頼されていることに起因しているとのオピニオンを持つ。

韓国では立席可能な中距離路線バスでもどこに飛んでいくかわからないので手すりは持つ
韓国では立席可能な中距離路線バスでもどこに飛んでいくかわからないので手すりは持つ

 バスが安全な乗り物だと認識されバス事業者が信頼されているのは結構なことなのだが、乗客がシートベルトをしていないと事業者が行政処分される可能性があるので、くれぐれも法律に定められた義務だということを再認識して、高速バスや観光バスに乗ったら、まずシートベルトを装着していただきたい。

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