【バス運転士不足問題】フジエクスプレスの営業所見学会取材! その後日談はまさかの……ええっ?

【バス運転士不足問題】フジエクスプレスの営業所見学会取材! その後日談はまさかの……ええっ?

 前回、フジエクスプレスの営業所見学会のレポートをお伝えしたが、この話には続きがあるとした、本稿ではその驚きの続きをご紹介する。

文/写真:古川智規(バスマガジン編集部)
(詳細写真は記事末尾の画像ギャラリーからご覧いただくか、写真付き記事はバスマガジンWEBまたはベストカーWEBでご覧ください)

■両極端な意見しか聞けない…

試験で使用される車両は9mの中型車である日野レインボー
試験で使用される車両は9mの中型車である日野レインボー

 前月に東京都港区のフジエクスプレス東京営業所で行われた営業所見学会を取材したが、前回の記事では、話には続きがあるとした。この見学会で希望者はそのまま採用選考を受けることができるわけだが、記者もパートタイム採用枠で試験を受けることにした。

 バス運転士不足問題の記事を書くのに、いくら話を聞いても取材しても本当の部分は分からないということはなんとなく感じていた。待遇が昔のまま取り残されて悪い業界であるのはそもそもわかっていたし、事業者の運転士への考え方が旧態依然としている会社が多くあるのも知っている。ましてや運転免許の制度上、事業者ではどうしようもない問題をはらんでいるのも事実だ。

試験走行中にレインボーブリッジを見る余裕はない?
試験走行中にレインボーブリッジを見る余裕はない?

 しかし、現役であろうが退職した運転士であろうが、不満がある人に聞けば批判的な意見しか出てこないし、満足とまでは言わないが不満のほうが小さい方に聞くと肯定的な話が聞ける。それらはあくまでも話を聞いた人の主観に過ぎず、こうであると断定するのは難しいのだ。

 もちろん、どちらも間違いではないが万人にとって正解ではないだろうし、それで不足問題が解決できるのであればだれも苦労はしない。やはり自分で身を持って体感したことを忖度なく書くことが現状を伝える近道で、乗客や他の交通への啓蒙や、裏が取れていない匿名の怪しげな話よりも確度が高い話を書けるのだろうと感じ、できることはやってみるべきだと考えた。

 もちろん記者が本業で正業なので、パートタイム(バイト)運転士しか志望できないし、転職する気はない。記者は職業運転士の経験がないので、今後どうなるのかはほとんど何も知らないままだが、バス運転士不足問題を記事にするならば良し悪しを含めてありのままを書くべきだろう。

■採用選考に進む場合は?

ポンチョでの運転体験中の記者
ポンチョでの運転体験中の記者

 では、見学会終了後に採用選考に進む場合はどうなるのかを早速レポートする。まずは筆記試験と面接がセットで待っている。どちらが先かは受験人数にり変わるようだが、記者の場合は筆記試験は後で、先に面接を受けた。面接は対面で行われ、今までの職歴や希望する職種、大まかな勤務可能時間、希望の営業所等を主に聞かれる。聞かれることは概ねどの業種でもどの職種の採用面接でも同じだろう。正社員希望であれば、また異なる質問があるのかもしれないが、記者はバイト希望なので概ね以上のような面接だった。

実技試験は公道で行う
実技試験は公道で行う

 筆記試験は交通法規に関する正誤式で、大型二種の学科試験に合格した方であれば特に事前に予習をする必要はないだろうが、交通違反を繰り返している場合はひと通り確認はしておいた方が良いのかもしれない。

 採用選考に必要な提出すべき書類は履歴書、職務経歴書、運転記録証明書(3年分)である。もし免許取得後3年に満たない場合は1年分で問題はない。特例講習を経て大型二種免許が取得できる制度を利用することも可能だ。AT限定免許でも限定解除から面倒を見てくれるようだ。

運転記録を取得して1年以上無事故無違反だと送られてくるSDカード
運転記録を取得して1年以上無事故無違反だと送られてくるSDカード

 記者の場合は当日に受験の意思を固めたので、運転記録証明書をあらかじめ用意しておらず、これについては後出しで勘弁してもらった。ちなみに無事故無違反は20年だったので、最近割引等で話題のスーパーゴールドSDカードが同封されていた。過去5年の記録を取得したが当然のことながら何も書かれていなかった。

最近は物価高騰でメディアでも話題の各種割引が受けられるSDカード
最近は物価高騰でメディアでも話題の各種割引が受けられるSDカード

 筆記試験と面接を受けた後は、そのまま実技試験が実施される。正社員を希望する場合は、高速・貸切組なのか路線組希望なのかにより試験車が変わる。路線組は中型車(9m)の日野レインボーAT車で、高速組は主に大型車(12m)の日野セレガMT車で試験を行う。バイト組は中型路線車だ。

試験担当者の指示通りに芝浦界隈を走る
試験担当者の指示通りに芝浦界隈を走る

 すでに大型免許を持っている場合は、バスを前後左右に移動できるかどうかを見極めたのちに、路上に出て試験担当者(主に運行管理者)の指示通りに、港区芝浦付近を走る。これは以前に記事にした空車教習体験取材での習熟運転に似たもので、停留所への停車もドア扱いもしない。指示通りに走るのみだ。

ミラーが重要だが見るのは後輪の位置?
ミラーが重要だが見るのは後輪の位置?

 免許を持たない場合は、指定された自動車教習所へ出向いて教習車で場内を走り教習所の指導員に運転士としてのセンスや適性を判断してもらう。担当者によると、最低限の運転センスの有無を見ているのに加えて、普通車とはまったく異なる運転感覚を体感してもらう狙いもあるようだ。

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