■撮り鉄さんありがとう!! の声
記者が乗車したやまぐち号は「DLやまぐち号」の名を冠するディーゼル機関車がけん引する列車だ。SL(現在の本務機はD51)は故障だったのが修理を終えてでようやく新山口まで戻ってきていて、8月末には山口線で試運転を実施する。
その後、いったん京都に戻り再整備を施したうえで、早ければクリスマスごろには運用に復帰できそうなところまでこぎつけた。
地元商店でもSLやまぐち号の運転再開は重要な感心ごとなので、観光協会から情報は得ているようだが、ある商店では撮り鉄さんの情報が役に立っているようだ。
一般のニュースでは一部の撮り鉄が起こした迷惑行為で撮り鉄さん全体が悪いように思われているが、確かに報道に出ている事件等は事実だが実際に撮影現場に行ってみれば分かることだが決して報道されているようなことばかりではない。
ある商店の方に話を聞くと観光協会からの情報よりも飲食や買い物に来てくれる撮り鉄さんをはじめとする鉄道ファンの情報の方が正確ではるかに早いので、本当に助かっていると話してくれた。
運行の見込みや現状、ダイヤまで細かく親切に教えてくれて、その情報が何よりも正確なので集客の見込みが立てやすく、小さい町の商店は助かっているとのことだ。
中には撮り鉄の成果物である写真をアップしたSNS上での運転見通しの質問にさえ丁寧に答えてくれると感謝しており、実際に記者は2店舗で同じことを聞かれ、同行した撮り鉄さんが懇切丁寧に教えていたので、これらの話は事実のようだ。
JR西日本も山口線沿線のいわゆる「お立ち台」と呼ばれる撮影スポットは熟知していて、車内放送でも有名撮影スポットを通過するので撮り鉄さんが多く並んでいる旨を案内しているし、機関士も動画撮影をしている撮り鉄さんも多いことを知っていて、かなり長めに汽笛を吹鳴する等のサービスを行っていた。
さらに大型のカメラ片手に列車に手を振るサービスをしている撮り鉄さんが多いのにはおどろいた。現在のカメラは三脚を立てればワイヤレスでシャッターを切ることができるものの、ほとんどのカメラマンはそんなものには頼らずに自分の指でシャッターチャンスを狙っているはずである。
それでも自分のレンズの焦点距離を列車が通り過ぎたらすかさず手を振って車内の乗客にもサービスをしてくれて車内の子供をはじめとした子供連れの家族もよろこんで手を振り返していたのが印象的だった。これが多くの撮り鉄さんの本来の姿であることもこの機会に知っていただければ幸いである。
■列車を降りても見どころいっぱい
津和野での折り返し時間は約3時間だ。乗り鉄・撮り鉄さんは機回しと呼ばれる、いったん編成を引き上げて駅の空いた番線に押し込んでおいて、機関車を側線に留置。出発30分前頃に機関車を編成の前に連結して本線に引き出し、出発番線にバックで戻すという作業をする。
電車では両方に運転台が付いているので運転士が移動すればよいだけだが、客車は機関車にしか動力がないので機関車を進行方向に回す「機回し(機廻し)」という作業が必要になる。この模様を見たり撮影したりするのも目的の一つになっているので、実質は1~2時間程度が自由時間だ。
■津和野駅周辺はちょっと寂しいが……
津和野駅周辺には実際には何もないと言ってもよいくらい閑散としている。駅前には土産物店や食事ができるお店があるが、列車到着時には下車して乗客が殺到するのでいっぱいになっている可能性がある。
貸自転車もあるので、それを利用すれば小京都の街並みを堪能することは可能だ。家族連れには子供を乗せるトレーラー(被牽引車)付きの自転車を貸し出すサービスもある。ちなみにコンビニは駅から10分程度離れている1店舗のみだ。
駅前にはD51が置かれていて撮影や運転台に上がることも可能だ。ツーリング族のバイク乗りの方々がSLの前でバイクを入れて撮影を楽しんでいた。バスマガジンの記者なので乗り鉄ばかりというわけにもいかず駅前でバスの撮影のために待ってみた。
町営バスは来なかったが、防長交通と石見交通のバスを見ることができた。高速バスは走っていないが、防長交通の東萩からやってきた快速バスが到着する時刻だったようだ。
萩はパンフレット等では津和野とセットで観光目的地になっていることが多いが、津和野は島根県で萩は山陰本線沿いの山口県だ。直線距離はそれほど離れていないが、山間部なので道のりはそれなりにある。
バスの本数は多いとはいえないが、せめて山陽地区の都市からの陰陽連絡路線が津和野を経由すればもっと観光客を呼べるのにと思ったが、付近に高速道路がなく、山陰側に大都市がないので現実的でないのだろう。
コメント
コメントの使い方