休日のお出かけスポットの中から、たまには“知恵が付く”知識を身につけるべく「魔法の文学館」にお出かけしてみることとした。ここは路線バスのフットワークの良さが生きるルートなので、その乗りバス的な行き方を含めて紹介する。
文/写真:東出真
編集:古川智規(バスマガジン編集部)
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■都営バスに乗る!
今回の行先は東京都江戸川区だ。東京駅から京葉線で葛西臨海公園駅にやってきた。目の前に都立葛西臨海公園、そして葛西海浜公園がある。平成元年に開園した公園で約80万平方mの広さを有していて、東京ドーム約17個分という広さである。
芝生広場のほか、鳥類園や水族館、観覧車などがあり、多くの来場者があるようだ。駅から出ている路線バスに乗るので、バス乗り場へと向かう。
都営バスに乗車する。次々とバスがやってくるのを見ると、都会を感じる。乗車したのは葛西21系統で、葛西臨海公園駅と東西線・葛西駅を結ぶ路線である。数人の乗客があり、バスは定刻に出発した。
住宅街を経由して走行すること10数分で着いたのは「魔法の文学館入口」バス停だ。ここからは徒歩で移動する。この辺りには、なぎさニュータウンという団地があり、東側には旧江戸川が流れる。
そこに隣接するように「なぎさ公園」がある。公園のツツジを見ながら歩いていくと、小高い丘に白い建物が見えてきたのが「魔法の文学館」だ。
■魔法の文学館
「魔法の文学館」は「江戸川区角野栄子児童文学館」といい、江戸川区の施設である。角野栄子さんは童話・絵本作家で1970年に「ルイジンニョ少年 ブラジルをたずねて」で作家デビュー、代表作は「魔女の宅急便」である。1989年にはスタジオジブリより同名でアニメ映画化され、大ヒットとなった。
テレビで何度となく放映されているので、ご存じの方も多いだろう。2018年には児童文学の「小さなノーベル賞」といわれる国際アンデルセン賞作家賞を受賞し、さらに江戸川区区民名誉賞を受賞した。
その後2023年11月3日に、なぎさ公園に「魔法の文学館」が開館した。この地に文学館ができた理由は、3歳から23歳まで江戸川区北小岩に住んでいた縁とのことだ。
■分類せずに置かれた多くの本
中へ入り入館の手続きを行い、入館料を支払う。基本的に日時指定の事前予約をして来館する流れになっているらしいので、まず予約状況を調べてしておくことをおすすめする。外観は白いが中は一面赤い世界が広がっている。まったく違う世界に入り込んだかのようだ。
まず視界に入ってくるのは、とても大きな階段である。建物は3階まであるが、そこまで1つの大階段で繋がっていて、ここをメインに各フロアを行き来する感じだ。そして文学館ということもあり、1階と2階のライブラリーを含めて、多くの本が置かれている。
公式サイトの説明では約10000冊が並べられているということだ。すぐ近くには様々な形の椅子が設置されていて、思い思いの形で好きなように本を読めるようになっている。ちなみに本は図書館のように分類・整理されているわけではなく、あえて分類せずに並べてあるそうだ。
「自分だけのお気に入りの本をゆっくりと探してほしい」という狙いもあるようだ。また読書テラスというものもあり、申請をすれば本を外へ持ち出して読むことも可能だ。
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