近頃は、現金を使って買い物などをするのは時代遅れで、キャッシュレスで支払うのが最先端かつ誰もが幸せになれるベストな選択、のような論調でアツく語られるニュース記事やコラム等々をよく目にする。しかしそれは本当なのだろうか? 身をもって確認してみた。
文・写真:中山修一
(キャッシュレスの旅の写真付き記事はバスマガジンWebもしくはベストカーWebをご覧ください)
■完全キャッシュレスで旅に出てみる
確かにクレジットカードや電子マネーで支払う機会が非常に多い昨今ではある。しかし各種メディアを経由して、そこまでキャッシュレスを推すということは、自信タップリに「マジ現金なんて要らないから!!」と、まくし立てているようにも聞こえる。
もしそうなら、例えば旅に出た時、旅先で発生する支払いの方法にキャッシュレスしか選択肢がないとしても、何ら不安不自由なく道中を楽しめて当たり前なハズ。
100%現金不要という認識でOKだね? ホントだね?? じゃあ一つその各メディアが絶賛提唱しているキャッシュレス至上主義を信じることにして、泊まりがけで外出してみようではありませんか。
■一応のルールは作るべし
出発する前、ただ「キャッシュレス」というだけでは整合性に課題が残ってしまう気がして、よりキャッシュレス感を強調させるべく、次のような基本ルールを設けた。
(1)自宅を出た時点→自宅に戻るまでの間1円も現金で支払ってはいけない
(2)使って良いキャッシュレスの手段は2ブランドまで
(3 ※バスマガジンWeb特定ルール)公共交通機関で行くこと
ルール(2)の2ブランドとは、「クレカ1枚とSuica」、「D払いとPayPay」、「SAPICAとOKICA」といった要領。ただし、QR系や交通系ICカードのチャージに関しては、現金を使わない限り不問。
寄稿先が『バスマガジンWeb』ということで、普段であれば途中の区間を全部バスで繋げるところではあるものの、キャッシュレスの旅では電車を使っても良いことにした。何なら飛行機だろうとタクシーだろうとOKだ。
どうしても現金で払わないとダメな状況に陥った時点で企画失敗。時間換算で達成率を割り出したものをスコアにする。例えば全行程が24時間だったとして、8時間経った時点で現金必須になった場合、キャッシュレス達成率は33.3%になる。
■手始めに南伊豆のあたりへ
フルキャッシュレスで旅に出たことは過去に1度もないゆえ、手始めに自宅のある横浜市内から南伊豆のあたりまで向かう1泊2日のプランを立てた。支払い手段には最も確実であろうと判断してクレカ1枚とSuicaを選択。日数短いし手ぶらで行こうっと。
まずは神奈中バスとJR横浜線、小田急線を使って、自宅→町田→小田原に出た。この区間はバス・電車ともに全国交通系ICカードが使えるのと、小田急線で利用したロマンスカーもチケットレス手配ができ、何ら問題なく進めた。
当日は京浜東北線を起因とする遅れが東海道線にも及んでいた。この先グダグダになりそうだし、小田原からE257系乗っちまうかと考えて、スマートフォンで特急券予約アプリを開く。
ところが座席指定をする段階で「只今混み合っています」の画面に移行。18回トライしても結局全部蹴られてしまった……イザという時に限って役に立たないのがインターネットである。
もう改札入った後だったし、また出るのもめんどくさいというか、あまり時間もなく特急間に合わなくなりそう。
かと言って特急券なしで乗って車内購入は現金払いの可能性がある。しょうがない、30分待って普通列車でダラダラ行きますよ。
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