都市高速路線のうち一部を廃止
都市高速道路経由の路線は、そのほとんどが一般道経由の路線が存在するが、利用の少ないと思われる都市高速経由路線が廃止される。一般道経由の路線はこれまで通り運行され廃止停留所もないので、影響は軽微だとの判断だろう。対象系統は500・501・502・507番の各行先番号だ。
高速バス運賃の改定
高速バスについては、九州島内発着の高速バスの一部区間で運賃が値上げされる。例えば最も利用の多い福岡・北九州線の場合、天神・小倉間が現行1150円から1350円になる。
同区間では西鉄の高速バスの他にJR九州の鹿児島本線、JR西日本の山陽新幹線が選択できる。現行の博多・小倉間の普通運賃・料金の合計額は、山陽新幹線が自由席で2160円、鹿児島本線の普通・快速列車で1310円、特急列車自由席利用で1830円だ。
高速バスが今のところ最も安いが、値上げされると最安運賃はJR九州になってしまうので、西鉄が長い間の競争で鉄道より運賃面で優位に立っていた状況が崩れることになる。いかに公共交通機関が受けた影響が大きかったかが分かる事例だろう。
フェニックス号はダイナミック・プライシング
また、福岡・宮崎線(フェニックス号)では、ダイナミックプライシング運賃を導入する。これは需給によりあらかじめ決められた変動幅の中で運賃が変わる仕組みで、予約時に提示された運賃で購入することになる。
この方法はLCCではおなじみの運賃設定方式だ。WEB予約でクレジット決済もしくはコンビニ決済のみ適用されるので、これ以外の購入方法では最も高い運賃(6000円)になる。
変動幅の下限は現行運賃(4710円)よりも安い3500円だが、上限が6000円で往復割引乗車券、各種回数券、割引運賃制度は全廃され、新設される65歳以上が利用できるシニア割(4500円)のみが割引運賃になる。よってWEB上の運賃をにらみながら予約することになりそうだ。
ペガサス号はカレンダー運賃
一方、本州方面の福岡・岡山線(ペガサス号)はカレンダー運賃を導入する。福岡から倉敷駅7230円・岡山駅7540円の現行運賃から、倉敷と岡山を同一運賃としたうえで、6600円から9100円までの6区分で乗車日により変動する。
カレンダー制運賃はダイナミックプライシングとは違い、購入タイミングに関係なく、乗車日が決まると運賃も決定するのでわかりやすい。
基本的には閑散月の平日が安いが3月の運賃カレンダーを見てみると、最も高額なS運賃の設定はないが、安い方の2区分D・E運賃もないので3月に限った話だと現行運賃よりも必ず高くなる。ちなみに往復割引は廃止される。
西鉄だけが苦しいわけではないが…
記者のオピニオンではあるが、全体的に見てみると路線バスの基本運賃を値上げするわけではないので設定に苦心したのが見て取れる。しかし高速バスはかなり思い切った値上げ幅の区間もあり、西鉄の置かれた状況も見え隠れする。
そしてバス事業者のリーダー的存在である西鉄が先陣を切って値上げに踏み切らないと、緊急度の差はあれども日本のバス事業が崩壊しかねない状況にまで陥っているのも背景にはあるのかもしれない。