北海道内の旅程作成を支援する新サービス「たびポス」が2023年1月23日にスタートした。ご自慢の「旅程」を投稿したり、他の旅行者の旅程を検索し自分用に編集したりできる。これはバスファンも使えそうだ。
文・写真:バスマガジン編集部
編集:古川智規(バスマガジン編集部)
意外となかった?旅程をシェアするサービス
このたびリリースされた新サービス「たびポス」には、大きく二つの機能がある。 一つ目は、発着地や訪問スポット、宿泊地などの条件を入れることで、簡単に旅程を作成できる機能だ。従来の乗換案内系のサービスでは、地点から地点へ、最速または最安のルートを検索することはできたが、観光の時間や宿泊を含むコースを組むことはできなかった。
仮にできても経由地の数が限られ周遊型の旅程を組む仕様には遠かった。また作成した旅程を同行者などに共有することもできる。
二つ目は、実際に旅行した後に写真やコメントを追加し、「たびカード」と呼ばれる旅行記を完成させサイト上にアップできる機能だ。実際に旅行した人にしかわからないクチコミ情報や「車両のどちら側が景色がいい?」など旅のコツを、他の旅行者に伝えることができる。
投稿された「たびカード」は、他の旅行者が検索や閲覧をし、さらに自分用にカスタマイズすることも可能だ。土地勘のない場所への旅行であっても、既に旅行をした人の旅程をベースにすることができるから、簡単に希望に沿った旅程を組むことができる。
ただし、当面は投稿できるのは北海道内の行程だけだ。道内の空港や駅、バスターミナル発着のコースを投稿するとよいだろう。
貸切バス事業者が「個人旅行」に乗り出す理由とは?
さて、「たびポス」の企画・運営をするのは札幌観光バスという、1964年に設立された老舗の貸切バス事業者で、元の資本関係は名鉄系だ。現在は新しい経営者の下で様々なチャレンジをしている。「大型バス運転体験ツアー」などのバスファンにも魅力的が企画が多い。
しかし団体旅行の足であった貸切バス会社が、公共交通を利用する個人旅行を支援する「たびポス」を始める理由とはいったい何なのだろうか。
「たびポス」リリースを記念して札幌市内で開催されたセミナーでその理由が披露された。道内の自治体や旅行会社、メディアらが参加したほか、オンラインで中継され道外でも見ることができた。
「もう一歩先へ 真の価値を伝えるこれからの北海道観光」と題した基調講演で、国土交通省・北海道運輸局の水口猛観光部長は要旨、北海道の観光が札幌など道央圏に一極集中している点を指摘し「お手頃な旅」から抜け出し、「わざわざ行く価値がある」と積極的に伝える必要がある旨をと呼びかけた。
また「たびポス」にも、実際に旅行して満足した人の「熱意」のある投稿を増やしてほしいとエールを送った。続いて「たびポス」開発に共同企画者としてかかわった高速バスマーケティング研究所の成定竜一代表が登壇し「旅行会社主導、団体中心の『昭和の旅行』は終焉し、今では個人旅行が中心だ。
しかし一般の旅行者にとって、土地勘がなく広大な北海道では、移動時間などの見当がわからない。他者が作った旅程を参照し、自分用にカスタマイズできるサービスが必要だ」と話し、「たびポス」開発の意図を解説した。
つまり専門紙の「プロが選ぶ優良観光バス30選」で全国7位に選ばれるなど旅行会社からの評価が高い老舗でも、団体旅行市場の将来に不安があり、個人旅行分野へ進出を図っているということだ。
札幌観光バスの佐藤圭祐・常務取締役は「旅程のデータが蓄積されることで将来、旅行のデジタルトランスフォーメーションにつながる。多様な旅程を投稿してほしい」と語った。
道内の高速バス「一筆書き」ルートや、秘境路線バスの乗り継ぎ、某テレビ番組の乗り継ぎコース予想など、バスファンにとっても「楽しく使える」サービスになるのではないだろうか。
【画像ギャラリー】バスファンも使える「旅程」を組み共有まで可能な「たびポス」(6枚)画像ギャラリー
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