■マッピングデータをトレースする
ほどなくして最初の停留所が近くなってきた。停留所としては一番西にあたる「文化会館南(1)」のバス停である。駅から離れているので乗車する人はいないようだ。ここで時間調整をするということなので、自動運転バスについての説明を聞いた。乗務員の位置にはやや大きめのモニターがあり、自動運転バスの経路を表す白いラインが描かれている。
ここに地図データなどを落とし込んでより詳細なマップを作成し、これを元にバスが走行する。よってライン上に何もなければレベル4のような完全無人運転というのが可能だが、実際の道路状況は異なるので、その際は手動に切り替えて乗務員がコントローラーを操作する必要があるのだという。
また前回は経路上の信号機の動きと連動して赤になるタイミングでスムーズに停車するなどの技術が取り入れられていたが、ある程度の実験は行えたということで、今回はそのシステムは盛り込まれていないということだった。
■側道バス停だと乗客も安心?
再び出発すると今度は交差点先をUターンし東に向けて走行する。車線変更もあるので周りの交通状況をよく確認して走行していく。やはり他の車両との速度差があるので、かなり遠くからでも十分に確認して走っているという感じだった。中央通りは本線の両側に側道があるので、後続車両を気にせずに停車・出発ができるのでその点は安心できた。
筆者は3番目のバス停である「市民公園」で下車した。商業施設や文化施設にも近く、利便性も高いが今回の臨時バス停のほかにもツアーバスなどのバス停も多く設置されているようで、なかなか賑やかである。バスを見送るともう1台走行しているバスに乗車するためにバス停を1つ戻ることにした。
そして待ち時間を利用して、自動運転バスの運行と同時に始まったデジタルポイントラリーに参加した。これは中央通り周辺のスポットを巡り、そこで得たポイントでクーポンやグッズ等と交換することができるものだ。各所にスポットはあるので、思ったよりも効率よくポイントを取ることができた。
■あれもこれも障害物認定!
次のバスがやってきた。1乗車目はピンクのバスであったが、今度は青である。同じようにスマホに表示したQRコードで乗車手続きを済ませて乗り込む。車内はほぼ満席だ。走り出したバスは順調に走行し、先ほど降車した「市民公園」バス停に停車した。ここで半分ほどが降車し、次の「都ホテル」バス停でも降車があったので車内は乗務員と私だけになった。周囲の交通状況を見ていると、やはり駅に近いこともあり車や人の行き来も多い。そんな間を縫うように、するすると走っている感じだ。
最初に乗車したバスでは乗務員が手動に切り替えて操作するということであったが、実際の操作を見る機会があった。まずは路上駐車の車である。前述したが、自動運転バスの経路は道路データに描かれたラインに沿って走行する。もちろん車体の大きさもデータとして入っているが、そこにかかるように他の車両があると、衝突を回避するため停車する。
もちろんセンサーやカメラにより自動停車するのだが、それらを避けるための走行データがないため出発することができず次のシーケンスに移れない、つまり動かなくなるのだ。初日の運行ではそのような状態になり、システムを再起動して対応したのだという。
また経路上には道路や建物の工事現場もあるが、それも厄介な「障害物」だという。どこでいつ工事が行われているのかというデータはもちろん入っていない。当然だが、工事の最中は安全のため道路にまたがるようにカラーコーンや誘導路が設置られている。ことがあると走行ルートにかかり動かなくなってしまうらしい。
ビルの建設現場では資材の落下防止や騒音対策として幌が建物を覆っているが、これも自動運転バスにはビルが道路側に移動してきたと認識してしまうようだ。よってそのような場面でも手動で操作しなければならず、あれもこれも障害物認定という話を聞いていると、すでに整備された市街地に自動運転のシステムを組み込むのは、なかなかハードルが高いと思えた。
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