■三重県初の国宝指定建造物!
広い境内に入ると一際大きな建物に圧倒される。これが2017年に三重県初の国宝指定を受けた、国宝木造建造物で5番目の大きさを誇る御影堂と、本堂で彫刻が素晴らしい如来堂である。また他にも11棟の国指定重要文化財が建ち並んでいる。
まず山門をくぐって正面にあるのが「御影堂(みえいどう)」である。建立は寛文6年(1666年)。入母屋造・本瓦葺で高田本山専修寺の最大の建物となっている。建物の内部は780畳の畳敷きの空間が広がっており、金襴巻きの大きな柱や多彩な天井画などが荘厳な雰囲気を醸し出している。
宮殿(くうでん)には宗祖である親鸞聖人の木造が安置されており、金箔や極彩色の彫刻で飾られている。その宮殿を中央に歴代の上人の御影が両脇壇及び両余間に安置されている。
御影堂の西側にあるのが「如来堂」で阿弥陀如来像を祀るお堂である。建立は寛延元年(1748年)。外観は唐様の建物で桐紋の入った破風を持ち、美しい組物や、象・竜・獏など、中国の故事にもとづく多くの彫刻が見られる華麗な造りである。如来堂の大きさは御影堂よりも小さいが高さを揃えることで、大きさの違いを感じさせないように造られている。
「如来堂」の内部は精緻な彫刻が施された組物や欄間、金箔で華やかに装飾された荘厳な空間となっており彫刻や金箔で装飾された黄金の「宮殿(くうでん)」に注目してほしい。ちなみにどちらも無料で拝観することができる。
■お土産品や見どころ
そして筆者が訪れたこの日は年に1度、親鸞聖人を偲びつつそのお徳を感謝する法会である「お七夜報恩講」が行われていた。報恩講は宗祖聖人のご遷化(命日)の日である1月16日(旧暦11月28日)の御正忌をご縁として勤められる。1月9日から16日まで7昼夜にわたって勤められるところから、お七夜の名で親しまれている。
お勤めは、聖人の遺徳を讃嘆する「報恩講式」が毎日初夜に拝読され、また聖人のご一代の物語を描かれた「御絵伝」が余間に掲げられるのが報恩講のならわしになっている。浄土真宗の最大行事なのでこの期間には法主殿のお言葉を直接聞く機会となる「御親教・複演」や講師による特別講演など開催されるが、境内やこの一身田町一帯に多くの露店が並ぶのでそれを楽しみにお祭りの感覚でここに来ている人も多いのではと思う。
ここでの名物といえばたけやの「たけやまんじゅう」に尽きるのではないだろうか。江戸時代から続くかなりの老舗で参拝のお土産として定番になっている。「高田」という焼印が入っており、つぶあん・こしあんのどちらも用意されている。運がよければ出来あってをいただけるということなので、ぜひ食べてみてほしい。
今回は高田本山専修寺についてお届けした。鉄道であればJR紀勢本線「一身田」駅、近鉄では「高田本山」駅が最寄となるが、ここはバスという選択肢も選んでほしい。津駅から三重交通バス51系統で「本山前」バス停で下車すれば目の前は山門でありその奥に専修寺御影堂が出迎えてくれる。また52系統で「高田高校前」バス停でも毎時2~3本運行でアクセス可能だ。
ちなみにこの高田本山専修寺は蓮寺としても有名で、見事な蓮池や境内の各所にて様々な種類の蓮を楽しむことができる。水面から大輪の花を咲かせるその姿は清らかさの象徴であり、見ていて心が洗われるのではと思う。季節としては夏なのでこれからゆっくりと一身田の町を訪れて美しい景色に会いに来てみてはいかがだろうか。
コメント
コメントの使い方専修寺はせんしゅうじではなく”せんじゅじ”と読むそうです。