代表的な観光スポットになり得る城跡の近くにあるバス停は、観光客にも分かりやすいよう「○○城前」と名付けるが定番なのか……蓋を開けてみれば意外と「○○城前」は少数派として推移する中、島根県の松江城周辺はどうなっているだろう?
文・写真:中山修一
(松江城とその周辺バス停の写真付きフルサイズ版はバスマガジンWebもしくはベストカーWebをご覧ください)
■誉高い現存天守
島根県の松江市内に建っている松江城は、国内外からも注目を集める、全国でもとりわけ魅力に満ちた城跡だ。
1607年に工事が始まり、1611年に完成。その後、災害や戦争・政策等の煽りを受けず、築城当初から建物の姿形が途絶えていない、国内に12カ所だけ残る「現存天守」の一つであるところが、松江城の大きな特徴。
松江城の天守は1935年に国宝に認定され、1950年の法改正によって重要文化財へと変更されたが、2015年に歴史的価値が再評価されて国宝に戻った。
国宝指定のお城は松本城(長野県)、犬山城(愛知県)、彦根城(滋賀県)、松江城(島根県)、姫路城(兵庫県)の5カ所しかなく、松江城はその“お城の中のお城”たる貴重な歴史遺産に含まれている。
■バスが支える松江城への足
そんな松江城へ遠方から観光で行こうとした場合、マイカー/レンタカーを除いた交通機関の最寄り玄関口になりそうなのが、JR山陰本線の松江駅と、一畑電車の松江しんじ湖温泉駅だ。
お城までは前者起点で約2km、後者は約1.3kmと、歩いての散策が楽しみな向きなら無理のない範囲に収まる距離と言えそう。
とはいえ、お城の出入り口すぐ近くを通る交通機関がまったくない、ということはなく、各方面からの路線バスが立ち寄るようになっている。
松江城の隣には現在の島根県庁が置かれていて、城跡のそばに行政機関が集中する様式は全国的にもベーシック。
国際派の観光地に加えて、行政機関を公共交通がスルーするわけには行かないイメージも強く、実際に県庁の近くを通るバス路線の数は、地元の足/観光向け循環バス合わせて、それなりに多いようだ。
■お宝なバス停名
さて、松江城の出入口に最も近いバス停名は「松江城前」なのかどうか。2025年3月に現地の様子を見に行ってみた。
バスの車内放送で、ここが最寄りですと説明が添えられていたバス停を見ると、その名も「国宝松江城県庁前」。“国宝”と付くあたりがミソであって、プレミアムな響きを与えてくれる。
すぐ隣にあるのが「国宝松江城大手前」であり、こちらも国宝を冠する何とも贅沢なバス停名。どうやら“国宝”の付くバス停は松江城のほか、大分県と長野県の各1カ所にしかないと思われる。名前の通り数でもお宝級だ。
ほかにどのようなバス停があるのか、ちょっとお堀の周辺を歩いてみて確認できたものには、大手前堀川遊覧船乗場・歴史館前、北殿町、塩見縄手、北堀町、小泉八雲記念館前といった名前が付いていた。
さすが大型観光スポットだけあって、お城の周辺はキレイに整備されていて、お土産屋さんや資料館なども充実、1日では回りきれないほどのボリュームと楽しげな空気感に包まれて、散策には最高の場所だ。
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