■一定の距離を移動するための乗り物!?
14:00の時間通りに「しまなみライナー」は福山駅前BTを出発した。駅を出てすぐ広島県内の幹線道路の一つである国道2号線に入り30分ほどかけて、いわゆる「しまなみ海道」と呼ばれる西瀬戸自動車道へと向かう。
しまなみ海道では、本州側から順に向島、因島、生口島、大三島、伯方島、見近島、大島、馬島の8つの島を、9本の橋で繋げて高速道路を通している。
14箇所ある停留所のうち、福山駅前から30kmくらい進んだ因島重井バスストップまでは乗車専用となっていて、この区間内での降車はできない。
途中で乗降可能なのは、福山駅前から約43km地点の瀬戸田バスストップと瀬戸田パーキングエリア停留所の2箇所のみ。
瀬戸田を過ぎると今度はいずれの停留所も降車専用に変わる。短距離利用は考慮されていない路線というわけだ。
瀬戸田PAバス停に着くまでの間、何名かが追加で乗車し、2+2列配置の席で2つとも空いている所はなくなったようだ。
■しまなみ海道=ずっと海沿いなのか?
旅行ガイドや画像検索で出てくる結果だけを見て、ざっくり「しまなみ海道」と聞くと、絶えず海沿いを走り、ずっと瀬戸内海が車窓に広がるイメージを抱くかもしれない。
実際にバスから外の景色を眺めていると、予想外に山深い所を走る印象を持った。島伝いに進んでいるのだが、海の青よりも圧倒的に山の緑のほうが多い。
これは地図で見ると納得がいく。高速道路は島の外周ではなく中を突っ切るように敷かれている割合が高い。島自体も大きく地形が豊かなこともあり、緑に囲まれても何ら不自然ではないのだ。
距離で表すと、全区間の走行距離約77kmに対して、海が良く見える区間はトータルで大体14〜5km分くらい。どちらかと言えば海はレア寄りの景色だったりする。
もちろん山の景色が物足りないわけでは決してなく、海がレアならレアで見えてきたときの感動もその分大きくなる。
天候に恵まれればまさに瀬戸内海と周辺の島々が織りなす自然のアートを楽しめる。本州側から向かった場合、進行方向左側が見やすい。
しまなみ海道で最大級の通過ポイントとなるのが、第一・第二・第三の3つの橋が連なる来島海峡大橋だ。
遠くに今治の街や四国の山々を望む橋上のパノラマは見応え十分。本州側から来ると最後にしまなみ海道のクライマックスを迎えながら四国本土に入る。
■ほどよい長さの高速バス旅
福山駅前を出発し、始めの国道2号線でやや渋滞があったほかは至ってスムーズにコマを進め、1時間30分ほどでJR予讃線の今治駅前に到着した。
しまなみライナーは更に先の今治桟橋まで向かうが、大半の利用者が駅前で下車していった。運賃は後払い方式で2,800円だ。
途中のPA・SA等での休憩はないものの、乗車時間が2時間未満ということで、トイレ付きの車両なら特段不便に感じるところはなかった。
距離と所要時間がほどよく、車窓からの景色も特別感抜群。しまなみライナーは本州〜四国を渡る便利な足代わりとしてだけでなく、乗っている最中も楽しめるイイとこ取りな高速バスであった。
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