■南砺市城端地区
次はここから市街地へ移動するのだが、高速バスのダイヤに合わせて南砺市営バスが運行されているので、乗り継ぎは比較的便利だ。乗客は筆者のほか1人だけで、少々寂しい感じだ。郊外に広がる田園風景を越えていくと住宅地に入っていく。JR城端駅まではおよそ15分で到着した。
ここは南砺市城端地区でJR城端線の終点である。以前は城端町という自治体だったが、2004年に合併し現在は城端エリアとして名前が残っている。駅から徒歩圏内には城端別院善徳寺があり、約530年前に本願寺第8代 蓮如上人(れんにょしょうにん)によって開基された寺院である。
現在は東本願寺(真宗大谷派)の城端別院となっている。その街道は「越中の小京都」とも称され、往時をしのぶ石垣や細い縦格子を基調とした町屋が両側に並んでいる。
また毎年5月にはユネスコ無形文化遺産にも登録された曳山祭が行われ、街道沿いには城端曳山会館という施設でその魅力や歴史について学ぶことができる。
■国鉄バス名金急行線の名残!
そして城端駅のバスターミナルで待っていると1台のバスがやってきた。こちらが今回のメインであるバスで「世界遺産バス」である。名古屋から乗車した加越能バスが運行している路線で、高岡駅前から城端地区を経由して五箇山・白川郷という世界遺産に登録されたエリアを結ぶバスで1日5往復運行されている。
またこのルートのうち城端駅前~白川郷間は1979年まで路線のあった旧国鉄バス名金急行線の路線となっていて往年のルートを走るということも人気の1つになっている。
高岡駅前から約2時間で向かうことができ、運賃は大人1800円だ。またフリーきっぷも販売されているので、高岡から乗車して白川郷へ向かう場合はうまく利用すれば効率よく合掌造り集落を回ることもできる。今回はそこまで向かうわけではないが、このバスの車両に注目したい。
■ここも聖地?
これは城端地区を舞台にしたアニメ「true tears」のラッピングバスで、昨年9月15日から1年間の期間限定で運行されている。
経緯としては昨年春に行われたアニメ「true tears」15周年記念プロジェクトのクラウドファンディングで目標金額を達成したことからスタートした企画で、合わせて富山新聞創刊100年を記念したラッピングが施されたという流れである。バスの側面、また前面にも文字が描かれ、後部には大きいイラストがラッピングされている。前方を走っている姿を見かけたらとても嬉しくなりそうだ。
またこのラッピングバスの運行中世界遺産バスの城端駅前、城端庁舎前、相倉口、下梨、上梨、菅沼、ささら館前のバス停には二次元バーコードが貼られており、アニメ「true tears」で石動乃絵を演じ、それが縁となって2009年から南砺市観光大使を務める声優・高垣彩陽さんによる観光案内ナレーションを聞くことができる。
筆者も城端駅前のバス停に設置された二次元バーコードで聞いてみたが、城端の街の説明や歴史、案内など落ち着いた声がとても聞きやすくファンでなくともぜひ聞いていただきたいいいナレーションだった。今のところ約1年間限定ということで2024年9月14日まで(予定)となっているのでぜひ城端を訪れた際には聞いていただきたい。
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