距離およそ60kmの沖縄本島南部!! バスで1周なんて余裕でしょ? と思ってやってみたら地獄が見えた件

距離およそ60kmの沖縄本島南部!! バスで1周なんて余裕でしょ? と思ってやってみたら地獄が見えた件

 沖縄本島の南部。那覇を起点に海岸線寄り・主に国道331号線をトレースしながら時計回りに1周してくると、60kmくらいの距離がある。さてこのルート、路線バスだけを使って回れるだろうか? ということでちょっと試してみた。

文・写真:中山修一
(沖縄南部バス一周チャレンジの写真付きフルサイズ版はバスマガジンWebもしくはベストカーWebをご覧ください)

■バスで南部1周なんて余裕でしょ?

那覇バスターミナルを起点にバスで南部を回りたい
那覇バスターミナルを起点にバスで南部を回りたい

 沖縄本島南部といえば、ひめゆりの塔をはじめ、喜屋武岬、沖縄平和祈念資料館、ニライ・カナイ橋、みーばるビーチ等々の観光スポットがあれこれ揃っているエリアだ。

 那覇に滞在中、南部をちょいと路線バスで時計回りに1周グルッと行って戻ってみるか、と考えた。名所が目立つ南部ゆえに、各スポットへのアクセスに使える路線バスが沢山出ていそうな印象。

グラスボートが名物の一つになっている「みーばるビーチ」
グラスボートが名物の一つになっている「みーばるビーチ」

 そんなイメージが先行していたのもあって、観光スポット方面へのバスを組み合わせる、あるいは北部の本部半島を走る、沖縄バス/琉球バス「65・66番」のように、乗り換えなしで1周してくれる系統だってありそうに思えてきた。

 それなら海岸線に近い所を通る、国道331号線をメインルートにした1周約60kmの行程も余裕でこなせるんじゃないの? と、だいぶ楽観視しつつ、決行にあたって事前のリサーチを始めた。

■あやしい雲行き

 バスに乗る前にいつも調べ物をする際、いきなり使ってしまうと刺激に欠けるので、出発点と行き先を入力すると自動で候補が表示される、乗換検索にはあえて手を出さないようにしている。

 マップ上に表示されるバス停情報と、各社が公表している時刻表データを頼りに、乗るべきバスと全行程を削り出していくのが普段の方法(手口)で、今回も同様に進めていった。

東陽バス37番で終点の南城市役所に向かう
東陽バス37番で終点の南城市役所に向かう

 始めのほうの段階で、南部を1周してくれるバスは1路線もないと判明。それは贅沢すぎる望みだったとして、331号を通るバス自体はいくらでもあって、ちょこっと乗り継ぐだけで簡単に移動でき、簡単に、か……あ、あれ?

 なんだこれ? 分からん、マジで分からんぞ。那覇から南部の各所へ向かうバスは確かに出ているのだが、それなりに系統の数が多い分、それぞれのバスの特色がスッカリ埋もれ、草むらの中から1本の針を探すような“迷宮”を生み出していた。

南城市役所の前はバスターミナルになっている
南城市役所の前はバスターミナルになっている

 この段階をクリアするのに5〜6時間を要した。壁を突破したらしたで、今度は内陸部を経由するバスが多く、素直に331号を通ってくれる路線はかなり少ない上に、系統が細かくブツ切りになっているため、何度か乗り換えが必須であるのも見えてきた。

■何でこんなことしなきゃいけないんだ

 路線バスで旅する場合、「乗った停留所→終点」で乗り換えるのが最も楽なパターンで、北部へ行った際はこのやり方で問題なかった。ところが南部に関してはこの公式が全く通用せず、途中の停留所が乗り継ぎポイントとなる場所が割とあるようだ。

南城市役所を拠点にするNバスの主力車両・日野ポンチョ
南城市役所を拠点にするNバスの主力車両・日野ポンチョ

 単純にバス停の位置をチェックするだけでなく、乗り換え待ち時間が287分とかにならない点を考慮に入れつつジックリ精査しないと、ロケ車がいない限り最悪の場合遭難してしまう。まあ押さえるべき基本要素が次から次へと出るわ出るわ。

 さらに、やっとのことで331号線上に出られたとしても、乗り換えたバスの系統番号が1つでも違うと内陸経由で那覇に戻されてしまう、この場合ブービートラップも手ぐすね引いて待っている状態。それと、途中停留所での乗り換えってトイレが不安なんだよね。

百名バスターミナル前でNバスA1系統を下車
百名バスターミナル前でNバスA1系統を下車

 見えるようで見えてこない経路というよりもう活路。頭が痛ぇ、何でこんなことしなきゃいけないんだ、焦げるほど煮詰まっちまったら火ぃ止めて諦めるのがむしろ当たり前だわ……だんだん投げやりになってきた。

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