距離およそ60kmの沖縄本島南部!! バスで1周なんて余裕でしょ? と思ってやってみたら地獄が見えた件

■底を割って卵を立てた

 観光バスじゃないんだし、そんな使い方想定されてない路線バスでわざわざ海沿い1周する方がどうかしてる、そうですね分かってますよ。さんざん頭を抱えた結果、どうにかこうにか1本の道筋が浮かび上がった。

百名BT→玻名城入口まで琉球バス50番を使って移動
百名BT→玻名城入口まで琉球バス50番を使って移動

那覇バスターミナル→(東陽バス 37番)→南城市役所→(Nバス A1系統)→百名バスターミナル前→(徒歩)→百名バスターミナル→(琉球バス 50番)→玻名城入口→(琉球バス 82番)→糸満バスターミナル→(琉球バス 89番)→旭橋・那覇バスターミナル

 というルートで、利用するバスは5路線。一旦書き出してしまえば「たった5路線なのに?」と思えるかも知れないが、知識ゼロの状態からコレを導き出すまでの道則が鬼を見るほど長かったワケで。

糸満バスターミナルまで来てしまえば、あとは楽々
糸満バスターミナルまで来てしまえば、あとは楽々

■バスだと1周○○時間!?

 上記のルートを参考にしつつ、平日の朝10時くらいに那覇バスターミナルへ出向き、東陽バス37番でスタートした。全行程のうち、どこも大体20〜30分くらいの待ち時間でバスが繋がった。

沖縄都市モノレールの軌道が見えると、那覇に戻ってきた実感がわく
沖縄都市モノレールの軌道が見えると、那覇に戻ってきた実感がわく

 ダイヤ的にも手頃で纏まった距離を一気に進めるのは那覇→南城市役所と、糸満バスターミナル→旭橋・那覇バスターミナル間の両端2路線。繋ぐまでに困難を強いられたのが、南城市役所→糸満バスターミナルまでの、南端寄りを通る区間だった。

旭橋・那覇バスターミナルに到着。このバス停は「那覇バスターミナル」とほぼ同じ場所にある
旭橋・那覇バスターミナルに到着。このバス停は「那覇バスターミナル」とほぼ同じ場所にある

 特筆すべきは2番目の「Nバス A1系統」。このルートで小型バス・日野ポンチョが使われているのはNバスが唯一。A1系統は循環バスの一種ながら、海に最も近い場所を通るユニークな存在。車窓からの景色が特に優れた、バス旅には凄くオイシイ路線である。

漁港の岸壁を転回場所に利用したダイナミックな経路を描くNバスA1系統
漁港の岸壁を転回場所に利用したダイナミックな経路を描くNバスA1系統

 また、このA1系統に乗車中、東陽バスの車庫の前を通ったのだが、そこに1970年代に製造されて今も現役の「ナナサンマル」が置いてあるのに気付いて、窓を流れていくそのシルエットを二度見した次第。

街路樹と軽バンの後ろに噂のナナサンマル。恥ずかしがり屋さん?
街路樹と軽バンの後ろに噂のナナサンマル。恥ずかしがり屋さん?

 他に注意したいのが玻名城(はなぐすく)入口のバス停。50番と82番の停留所は同一の名称ながら、50番用は国道507号線、82番用は国道331号線上と、それぞれ位置が異なる。

玻名城入口のある具志頭交差点脇に、待ち時間の休憩に利用できる「南の駅やえせ」が営業している
玻名城入口のある具志頭交差点脇に、待ち時間の休憩に利用できる「南の駅やえせ」が営業している

 同一のルートをマイカーやレンタカーで進んだ場合、渋滞がなければ1時間50分くらいで1周できるらしい。ではバスだと何分で回れるかといえば、那覇10:35発で出て戻ってきたのが15:45。310分・たっぷり5時間10分のバス旅を堪能。運賃は合計2,680円だった。

 現実的なプランが出てくるまで、これまで全国各地へ訪問した際に考えたバスルートの中でも、叫喚級の鬼ムズっぷりをお見舞いされたものの、こうして沖縄本島の南部海寄りを、路線バスだけを使って「回れる」という結論に至った。

【画像ギャラリー】沖縄本島南部バス1周ハーフデイトリップ(14枚)画像ギャラリー

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