1kmあたり3.6円だと!? 運賃激安の路線バスで北海道の南の端っこあたりを乗り渡るバス旅!!

■1kmあたり3.6円!?

 大漁くんバスには1時間ほどの乗車。中乗り・前降りの運賃後払い方式、交通系ICカード可であるのは函館バスの基本乗車方法と同じであるが、目を見張るのがその運賃。どこまで乗って行っても100円均一なのだ。

大漁くんバスはJR松前線の松前駅跡にも立ち寄る
大漁くんバスはJR松前線の松前駅跡にも立ち寄る

 福山〜原口漁港前が全区間になり、これをフルに利用した場合の距離は28kmくらいで、割ると1kmあたりの運賃が何と3.6円にまで下がるという日本屈指の脅威的な安さ!!

海沿いをトレースする国道228号線をひた走る
海沿いをトレースする国道228号線をひた走る

 乗っている最中に至るまで、運賃表示器に「100」と書いてあるにも関わらず、これホントに100円でいいの!? と懐疑的になりまくるほど。

 これぞコミュニティバスのなせる技か。全区間が同じ松前町の中に収まっているのも、この低運賃を実現できる条件の一つらしい。

■1分は接続にあらず?

 大漁くんバスの終点、原口漁港前まで乗っていくと、そこから江差行きの函館バス「621系統」が出ている。621系統もまた1日3本と極細のため、ここでも狭き門を押し通ってでもくぐり抜ける心構えが大切。

 ところが、利用した大漁くんバスの終点到着時刻と、江差行き621系統の乗り換え猶予が1分しかなく、遅れが出たら即オダブツなギリギリさが何かと不安にさせてくる。

終点の二つ手前で降りると乗り換えがラクに
終点の二つ手前で降りると乗り換えがラクに

 不安解消策として、2つ手前の「交流館前」で下車する作戦を考えた。同停留所は621系統の通り道でもあり、ここで大漁くんバスを降りれば猶予を1分→5分に増やせる。

江差ターミナル行き621系統がやってきた
江差ターミナル行き621系統がやってきた

 次にやってきた621系統も大型路線車での運行だった。これに乗ればあとは楽々、江差ターミナルまで直通してくれる。

素晴らしい景色がずっと続く!
素晴らしい景色がずっと続く!

 大漁くんバスでもそうだったが、終始ほぼ海岸線沿いを走るということで景色は申し分なく、さらに海抜100m程度の高台区間も含まれているとあって、オーシャンビューの中でも、より一層立体的・ワイドな景観が楽しめる。

簡単そうで超難読な「小砂子:ちいさご」
簡単そうで超難読な「小砂子:ちいさご」

 距離はおよそ36km、1時間2分ほどの移動だ。621系統は通常の路線バスなので、運賃は函館バス正規の1,500円だ。

■絶景しかないローカル路線バスな1日

 木古内駅前を11:10に出発して、松前経由で海岸線を北上して江差に着いたのが15:40。本数の少なさには常に集中しておく必要こそあれど、4時間半で目的地まで移動できた。

鉄道の通ったことがない道筋を使って江差ターミナルにアプローチ
鉄道の通ったことがない道筋を使って江差ターミナルにアプローチ

 江差ターミナルは江差市街地から少し離れており、市街地へは別の系統に乗り換えて向かうのが便利。また、JR江差線の代替バスで木古内に戻って、木古内拠点の函館バスぐるっと日帰り1周旅、なんて遊び方もできる。

 何よりこのルート、端から端まで景色が凄くキレイなところを走る路線に“しか”乗らないと言えるほどで、天気の良い日を狙えば最高の贅沢、文句なしのローカル路線バス旅を満喫できること間違いナシだ。

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