■宿泊は社員寮?
宿泊するのは富士急行の社員寮で、グループ会社の社員等が宿泊する。ここに記者は4泊する。食堂はなく、付近の外食店舗やコンビニ等を利用する。あらかじめ東京で食費として4泊5日分を現金支給されているので、特に負担はない。
喫煙所というものは便利なもので、喫煙しているということだけですぐに友達になってしまう。寮の外にある喫煙所で出会った今年入社したてのグループ会社のフレッシュマンと意気投合し深夜までさまざまなことを話した。
30歳近くも年が離れている偉そうなおじさんの話に付き合ってくれたばかりか、最後には「古川さんも私も4月1日入社ではないですか。私と同期ですよ!」と仲間として認めてくれたのがありがたかった。フジエクスプレスの運転士も気さくな方が多いが、富士急行グループ全体でこのような社風なのかと感じた。
■3日目からはひたすら実技!
3日目からはひたすら実技の毎日だ。運転士経験のある者は3日目の夕方で解放になる。さまざまなコースが作られており、用意されたバス3台で課題をひたすらこなしていく。3台の内訳は、日野ブルーリボン大型路線車(マニュアル車)、日野レインボー中型路線車(ATとMT各1台)である。コースの課題は中型で通る際にはパイロンとポールを狭くされ通りにくくなるという徹底ぶりだ。
もっとも皆が嫌がりながらも果敢に挑みたがったのは通称「タコつぼ」と呼ばれるコースでいわゆる「Ω」型の穴の中に左右ギリギリのポールの中を直進で進み、方向転換して元の出口から出るというものである。はまると永久に出られなくなる見事なタコつぼで、最初はみんな四苦八苦した。
路線バスでこういうコースはあり得ないが、貸切だともしかしたら同様のシチュエーションはあるかもしれない。コツはバスの中心を常に円の中心付近に置いて切り返すことだ。つまりスペースがあるからといって下がりすぎるとバスの中心が円内から弧に寄ってしまい身動きが取れなくなるのだ。
■疲れ切ったが楽しかった合同研修
要はバスの挙動を徹底的に頭に叩き込み、それを実践できるようになるまでひたすら訓練するのだ。これが3日目から5日目まで続き、また夕方の自社便で新宿に戻り研修は終了した。
この研修に参加した者で9名は正社員採用で、バイト採用は記者1名だけだった。前の記事でも述べたが、正社員であろうが契約社員であろうがバイトであろうが、運賃を収受して安全確実に旅客を輸送するプロの運転士を育成するためには、同じ手間とお金がかかっているのである。
記者は時給制のバイトだが、研修期間中は同条件で7時間50分から8時間の勤務という形で賃金が支払われる。いつ勤務してくれるのかわからないバイトに正社員とまったく同じコストと労力をかけて育成するとなるとバス事業者は費用対効果を天秤にかけて積極的なバイト採用を公表しない理由もわかるような気がする。
富士急グループでは定期的な勤務をしない前提のバイト運転士にもそれに合う仕業を用意しているのだろう。そこについては記者の現在の立場ではまだわからないので、追って一人前になればお伝えしたい。
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