筆者が興味を持つバスは路線バスや高速路線バスのみで、実は貸切バスをほとんどフォローしていなかった。しかし、今から約40年前、1年に2日だけ貸切バスを追い回した日があった。その2日とは1月2日と4月29日だった!?
(記事の内容は、2023年7月現在のものです)
執筆・写真/谷川一巳
※2023年7月発売《バスマガジンvol.120》『バスにまつわる愉快だけどマジな話』より
■皇居参賀のバスツアーがすごい熱量で存在していた!!
1月2日と4月29日とは、当時皇居の一般参賀が行われていた日で、1月2日はお正月、4月29日は当時の昭和天皇の誕生日である。この2日間は皇居に日本中から貸切バスを連ねた「一般参賀ツアー」が行われていたのである(現在はどのようになっているか不明)。
2日間は早朝から皇居のバス駐車場は日本各地の貸切バスで埋め尽くされ、さしずめ貸切バス見本市となった。皇居へ来るのだから「関東周辺が中心」と思うなかれ、静岡から、愛知から、岐阜から、関西などから夜を徹してやってきた。
さらに驚くのは、本州と四国が橋で結ばれる以前だというのに香川や徳島からも貸切バスがやってきていたのである。つまりフェリー航送してまでも一般参賀のツアーが行われていたことになる。
これらのバスをカメラに収めようと、少なからずバスファンも皇居へ足を運んでいたのである。
■全国バス事業者の看板車両が集う見本市の様相だった!?
花のお江戸、そして皇居へのツアーだからかもしれないが、各社とも看板車両で皇居へやってきた。バス会社各社の新型車両が勢ぞろいするイベントでもあったのだ。
いつもは広々と感じる皇居のバス駐車場はバスで溢れ、もっとも混雑する朝8時前後は、駐車場に入りきらないバスが霞が関付近にまで達していた。
それにしても、その頃の写真を振り返って思うのは、当時の日本は何かにつけて「積極的に行動する人」が多く、「お正月だから一般参賀へ行こう」「一般参賀があるからバスツアーを企画しよう」「バスがたくさん来るから、最新のバスを見に行こう」と、日本が元気だったと感じるのである。
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