■乗った直後に必ずやること
さて、チケットも買ったのでバスに乗り込もう。筆者は今回、町の中心ではなく、仕事でメッセ(見本市イベント)会場へ向かう目的があったので、町とは逆方向の路線に乗る。バス停には「メッセへは〇番」と、系統番号も記されている。
チケットは各都市で、磁気券方式か単なる紙方式かで異なるが、いずれにせよ車内にある刻印機へ差し込んで時間と日付を入力して“使用開始”の状態にしなければならない。
いわゆる「セルフ改札」で、乗車する際に運転手へチケットを見せる必要はないが、刻印を忘れると、抜き打ちで行われる検札で見つかった場合に高額の罰金を支払わされる。
日本では「不正乗車は運賃3倍」と決まっているが、イタリアとなれば3倍どころか30〜50倍くらい徴収されるので注意が必要。
■近くて遠い? イタリア路線バスの旅
バスは駅前のロータリーを抜け、メッセ会場への幹線道路を快調に飛ばす。何度か通ったことのある道……おや?いつもと違うレーンへ進んだぞと思いきや、そのままメッセ会場とは異なる住宅街の方向へどんどん進んでいく。これまたイタリア名物(?)の「事前告知なき迂回」か!?
スマホで見ていたグーグルマップですら、あらぬ方向へ進んだバスに混乱している始末だ。イタリアでは、こうした突然のルート変更などが意外と多く、しかも告知はイタリア語のみ。
言葉の分からない外国人にはお手上げだ。やれやれ、またか…と思っていたが、初訪問ならこの時点でパニックだろう。事情はよく分からないが、この日は交通規制があって、メッセ会場へ向かう一部の路線が迂回運行となっていたようだ。本当に初見殺しである。
仕方がないので、メッセ会場に一番近そうなバス停まで折り返し、そこからとぼとぼ歩いて会場へと向かった。唯一の救いは、バスのチケットは打刻後90分間であれば何度でも乗車可能なルール。
そのため、そのまま逆方向のバスに乗って戻ることができた。ともあれ、直線距離なら町の中心部より近い1キロ少々の距離なのに、気が付けば会場まで1時間近くを要していた。
複雑怪奇なイタリアの路線バス。もし観光等で訪れる機会があれば、読者の皆様も一度はチャレンジしてみては如何だろうか?
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