■グッドデザイン賞を受賞したスリムなキャッシュレス決済対応型運賃箱
見た目や操作性だけではなく、券銭処理部、運賃コンベア部、整流円盤部、排出機構部が“COMECユニット”として一体化されている。
「ニーズに応えて金庫からのデータ配信に積極的に取り組み、運賃表示器、音声合成などに対してのデータ変更が金庫経由でできるような仕組みを取り入れています」(丸山氏)。
出庫時のデータ転送時間の短縮化も図られており、バス事業者の“働き方改革”にも対応した運賃箱ともいえるものとなっている。
運賃箱(RX-FCM)のほかに、マルチ決済端末“BOSS(読取端末)/BOM(表示兼操作部)”のデモ機も用意されていた。
製品の特徴としては、運賃表示器などの車載機器と連動し、現在停留所や運賃の自動判定が可能、VISA、マスター、JCB、アメリカンエクスプレス、銀聯、ダイナースクラブのタッチ決済に対応、QRコードなどによるチケット認証に対応、小型化を実施し、運賃箱に組込み一体化も可能となっている。
実際カード(クレジットカード)タッチなどのデモを行ってもらったのだが、とくにスマホ(スマートフォン)によるQR決済では読み取り部にそれほど近づけなくても反応するところに驚かされた。
また、カードタッチも含めて決済完了時に発せられる決済完了音も店舗の機器ではいまひとつ聞き取りにくいのに対し、バス車内での決済ということも意識されているのか、決済完了音が大きく、聞き取りやすいのも印象的であった。
「これは2代目となるのですが、QR読み取り部を大きくしています。インバウンド(訪日外国人観光客)対応のサービスのつもりではじめた部分があったのですが、実際にはインバウンド旅行者以外にも10代や20代といった若い方がQRコード決済で乗車するケースが目立ちますね」(丸山氏)。
■乗務員の操作を必要とせずQRやクレカなどさまざまな決済を実現
今後について丸山氏に聞いた。
「今後も運賃決済の多様化が進んでいくものと考えています。クレジットカードやQR決済ではそれぞれのサービスによってポイント付与がありますから、利用者様としては自分がポイントを貯めているサービスでバスを利用したいと思われますからね。
そのため、どのような決済手段にでも対応できるものをバス車内に置いておかなければならない。バス車内は弊社の“主戦場”ですので、そこで“これはできません”とは言えないのです。そこはやっぱり作り続けていかなければなりません」(丸山氏)。
日本でも、いま、周辺整備も含めてバス運賃収受の完全キャッシュレス化が進んでいる。そうなると、東南アジアのようなカードタッチするだけのようなシンプルなものになるのだろうか。
東南アジアのものは機能が非常にシンプルなものとなっているのに対し、日本ではすでに各種クレジットカードやQRコード決済にも対応しているので、完全キャッシュレスとなってもそこまでシンプルな機器とはならないようである。
日本では運賃箱の金庫を介し、車載器プログラムなどのデータ転送、バスの運行に関するデータや、ICカードやキャッシュレス決済などの利用実績などに関するデータ収集及び保存などを行っている。つまり、運賃箱がワークステーションとして機能しているのである。
「RX-FCMは従来運賃箱の半分ほどの大きさの金庫としました。完全キャッシュレスとなったとしても役目を変えて、“金庫”というものは残っていくのではないでしょうか」(丸山氏)。
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