高速バスのドアに注目! 路線バスに多い折戸はなぜ廃れた!?

高速バスのドアに注目! 路線バスに多い折戸はなぜ廃れた!?

 高速バスの乗降扉は一般的には前にドアがひとつと、いわゆるトップドア車だ。乗車定員が決まっていて停留所が少なく、乗降に多少時間がかかっても問題がないからだ。とはいえ少しでもパフォーマンスを良くするために昔ながらの折りたたむタイプの“折戸”が非常にアツい!! 何がそんなにイイの!?

文/写真:古川智規(バスマガジン編集部)

【画像ギャラリー】高速バス、折戸のスーパーパフォーマンスに驚愕!!(11枚)画像ギャラリー

折戸vsスイングドア

 ハイデッカー車の標準的な扉は1枚扉がガバッと外に開くスイングドアだ。これはプラグ式のドアになっていて、閉めたときに車内側にテンションを掛けて密閉性を高めている。

 スイングドアのおかげで高速走行時の風切り音が少なくなり、静粛性が高まり見た目にもスタイリッシュでカッコいい。 また乗降口を若干広くとれるのでドア1枚のトップドア車には最適と考えられる。

スイングドアの例(長崎県交通局・三菱ふそうエアロエース)
スイングドアの例(長崎県交通局・三菱ふそうエアロエース)

 これらの理由からしばらくはスイングドアが多用された。一方で昔ながらの折戸は市内を走る路線バスでは一般的だが、ハイデッカー車には当初は折戸しかなかったものの、時代が進むにつれメーカーのラインナップから外れていった。

古い折戸にもメリット?

 ではこれらの違いはどこにあるのだろうか。まずスイングドアは前述の通り静粛性に優れ、デザイン的にも野暮ったくない洗練されたイメージである。 実用面では開扉したときに、折戸のように車内に折りたたまれたドアの厚みがないので、実質的に乗降口が若干広くなる。

 しかしドアの開閉に時間がかかり、頻繁に停車する昼行高速バスでは通勤通学の足として使われる路線もあり、そうした路線では降車を待って乗車することになるので乗降に時間を要する。ドアの開閉時間は積もり積もって定時運行に悪影響であるばかりか、乗降を待つ乗客にとってももどかしい時間になってしまった。

折戸の例(西鉄バス北九州・日産ディーゼル西日本車体工業B型)
折戸の例(西鉄バス北九州・日産ディーゼル西日本車体工業B型)

 折戸はパシャッと動作し、1-2秒程度で開閉ができるので、待ち時間がほとんどなく到着とほぼ同時に乗降が可能なほどだ。最近の鉄道でホームドアが設置される、前後のドア開閉待ち時間と体感的にはほぼ同じだ。

 デメリットは車室の密閉が難しいので、高速走行時にはドアから風切り音やロードノイズが侵入しやすい。これは夜行便には致命的だが、昼行便では利便性のほうが上回るので目をつぶっていた時期もある。また、見た目もボディとはカラーなどが異なるパーツなので、バス全体の見た目的な美しさにも劣ってしまう。

次ページは : ウインドスクリーンの原理で風切り音をカット!

最新号

【9月20日発売】巻頭特集は「東急バス」!! ほか楽しいバスの企画満載の バスマガジン126号!!

【9月20日発売】巻頭特集は「東急バス」!! ほか楽しいバスの企画満載の バスマガジン126号!!

バスマガジン Vol.126は9月20日発売!! 美しい写真と詳細なデータ、大胆な企画と緻密な取材で読者を魅了してやまないバス好きのためのバス総合情報誌だ!!  巻頭の[おじゃまします! バス会社潜入レポート]では、東急バスを特集。東京都から神奈川県において都市部から住宅地、田園地帯まで広いエリアを綿密なネットワークを展開、さらに高速路線バスやエアポートリムジンも大活躍。地域住民の足としてはもちろん、首都圏の動脈ともいえる重要な存在だ。  続く特集は、ついに日本に上陸しさらに種子島での運行が決まった、ヒョンデの電気バス[ELEC CITY TOWN]の試乗インプレッション。日本におけるヒョンデの本拠地である横浜・みなとみらい地区で、徹底的にその性能を確認した。  バスの周辺パーツやシステムを紹介する[バス用品探訪]では、なんと排出ガスからほぼ煤が出なくなるというエンジンオイルを紹介。この画期的な商品「出光アッシュフリー」について、出光で話わ聞いてきた。  そして後半カラー特集では、本誌で毎号、その動向、性能を追跡取材してきた「カルサンe-JEST」。このトルコ製小型電気バスがついに、運行デビューを果たした。その地は長野県伊那市と栃木県那須塩原市。今後の活躍が期待される出発式を紹介する。